まさか発達障害とは……子どもの通う保育園で指摘されたけど、信じられない、どうしたらいいの……?
「子どもが発達障害かも」と思ったり、指摘されたりすると本当に不安ですよね。
「え?うちの子が?」
「やっぱりそうなんだ……」
「そんなはずない!」など。
子どもと一番長い時間を過ごす親だからこそ、いろんな思いや反応があると思います。
でも、もしあなたが『子どもが発達障害』という事実を否定しているなら、私は心配です。
その間にも、あなたの子どもは苦しんでいるかもしれませんから。
実は、発達障害はまず周囲が理解して関わることが何よりも大切なんです。
なぜなら、周囲の関わり方一つで、子どもの人生を左右するからです。
そう言われると、さらに心配になってしまうかもしれませんね。
しかし、親のあなたがまず『発達障害とは何か?』をしっかりと理解することが、子どもへのサポートの大切な第一歩になります。
この記事では、『発達障害とはどのようなものか?』を簡単にわかりやすく解説します。
あなたがお子さんをより理解し、自信を持って関わるきっかけになれば幸いです!
わたしは発達障害の子を持つ看護師のたたとままです。
実は、はじめて『子どもが発達障害だ』と言われた時は、ただショックでした。
正直、将来を悲観し、絶望したことも何度もありました……
気づけば、我が子の発達障害と向き合い始めてから3年以上が経過。
今は子どもの特性を理解し、関わることで穏やかに過ごせる日が増えました。
そんな私が、子どもの発達に悩んでいる方へわかりやすく解説しています。
- もしかしたら発達障害かもしれないと思う
- 発達障害を指摘された
- 子どもの発達障害について理解を深めたい
- 発達障害により家族関係が不安定になっている
目次
子どもの発達障害とは?
まず、子どもの発達障害とは何か?を簡単に解説します。
発達障害では、生まれつき脳の発達に凸凹(デコボコ)があります。
それによって、行動面や情緒面に特性(障害の特徴)が出てくるんです。
どんな障害の特徴が出てくるのかは、発達障害の種類別に後述しますね。
ただし、全体的には、ぱっと見では発達障害と判別できない場合が多いんです。
そのため、周囲の人から『わがまま』『自分勝手』『空気が読めない子』と誤解されることも。
このような周囲とのミスマッチが、本人にとってどんどん生きづらさに繋がってしまうんです。
しかし、特性による困りごとは環境調整や経験の積み重ねによって軽減できます!
本人も気が付かずに大人になることもあるくらい、見た目ではわからないし特性も十人十色!
うちの場合は、集団での問題行動が目立つため、自宅にいる時は、息子の発達障害に気がつかなかったほどです。
子どもの発達障害の種類とは?
発達障害には、主に以下の3つの種類があります。
- 自閉症スペクトラム障害(ASD)
- 注意欠如・多動性障害(ADHD)
- 学習障害(LD)
これらの障害は一つだけの場合もあれば、いくつかを同時に持つ場合もあります。
また、どの特性が強く出るかは、人によりそれぞれなので、ASDだからといって全員が同じ特性というわけではありません。
次に子どもの発達障害の特徴とはどんなものか、それぞれ説明しますね。
自閉症スペクトラム障害(ASD)
まず、自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)には、以下のような特徴があります。
- 対人関係が苦手
- こだわりが強い
- 原因は不明(生まれつきの脳機能の異常によるものと考えられている)
- 親の育て方やしつけ方が原因ではない
- 子どもの20〜50人に1人が自閉症スペクトラム障害
- 男性の方が、女性の約2〜4倍多い
- 早いと1歳半検診で指摘されることもある
では、自閉症スペクトラム障害の子に多くみられる発達上の特徴とはどんなものでしょうか?
ASDの診断基準
一般的に、自閉症スペクトラム障害の子によくみられる特徴があります。
その特徴を以下にまとめたので、ご覧ください。
- 視線が合わない
- 表情が乏しい、不自然
- 名前を呼んでも振り向かない
- 人見知りをせず、人との距離感が近い
- 親の後追いをしない
- ひとりごとが多い
- 言われたことをそのまま言い返す(オウム返し)
- 親が「見てごらん」と指さしてもなかなか見ない
- 抱っこや触られるのを嫌がる
- 一人遊びが多い
- ごっこ遊びを好まない
- 食べ物の好き嫌いが強い
- 欲しいものを言葉や身振りで伝えずに、親の手で示そうとする
ただし、子どもにより同じ障害であっても特性は様々であり、当てはまることもあれば、そうでないものもあります。
また、当てはまるからといって、必ずしも自閉症スペクトラム障害であるという確証を得るものではありません。
正確な診断には専門医や心理士による問診・面接・行動観察・検査が必要なので、専門機関へ相談しましょう。
ASDの治療方法
まず、自閉スペクトラム障害は、病気ではなく持って生まれた「特性」と捉えましょう。
特性自体を薬で治すことはできないため、治療の基本は「療育」(治療教育)です。
療育とは、その人の特性に合わせた教育的方法で行われる支援のことです。
この療育は、生活への支障を軽減する目的で行われ、気がついたら早期から行うことが望ましいです。
ただし、以下のような症状がある場合には対症療法的に薬を処方されることがあります。
- 興奮
- パニック
- 自傷行為
- 攻撃性
- 不眠など……
また、周囲から特性を理解されにくく、いじめや失敗を繰り返すなど「生きづらさ」をつのらせる子も多くいます。
そして、以下の「二次的な問題(二次障害)」を起こしやすいことに留意しておきましょう。
- 身体症状(頭痛、腹痛、食欲不振、チックなど)
- 精神症状(不安、うつ、緊張、興奮しやすさなど)
- 不登校やひきこもり
- 暴言・暴力
- 自傷行為など
このような二次障害を最小限にとどめるために、子どもの特性を正しく理解しましょう。
ここでPOINT!
発達障害になるのは決してあなた(親)の育て方のせいではありません!
療育の先生にそう言われて、私は本当に救われました。
だからもし悩んでいるなら、あなたにも伝えたい!
また、家族関係が悪くなるだけなので、自分や相手(妻or夫)を絶対に責めないでください!(我が家で経験済みです泣)
注意欠如・多動性障害(ADHD)
注意欠如・多動性障害(以下、ADHD)は、主に不注意、多動性、衝動性の3症状を持つ、生まれつきの精神疾患です。
- 不注意(集中力がない)
- 多動性(じっとしていられない)
- 衝動性(思いつくと行動してしまう)
そして、ADHDには、以下のような特徴があります。
- 18歳以下の子どもの5%にみられる
- 3つの症状(不注意・多動性・衝動性)は同時に全てあらわれるわけではない
- 3つの症状を全てあわせもつこともあれば、どれか1つのこともある
- 成長に伴い、特徴が自然と落ち着いたり、本人が状況に対処するコツを身につけ、特徴が目立たなくなることがある
- 目立たなくなっても特徴が全てなくなるわけではない
ADHDの診断基準
下記の条件が全て満たされたときにADHDと診断されます。
- 「不注意(活動に集中できない・気が散りやすい・ものをなくしやすい・順序立てて活動に取り組めないなど)」と「多動・衝動性(じっとしていられない・静かに遊べない・待つことが苦手で他人の邪魔をしてしまうなど)」が同程度の年齢の発達水準に比べてより頻繁に強く認められること
- 症状のいくつかが12歳以前より認められること
- 2つ以上の状況において(家庭、学校、職場、その他の活動中など)障害となっていること
- 発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること
- その症状が、統合失調症、または他の精神病障害の経過中に起こるものではなく、他の精神疾患ではうまく説明されないこと
厚生労働省HPより引用
ADHDの治療方法
実は、ADHDの場合、意識して自ら症状を抑えることはできません。
無意識に、じっとしていられなかったり、忘れ物を繰り返したりしてしまうのです。
さらに、失敗行動が続くと、自己肯定感ややる気が下がり、こころの症状を合併する心配があります。
この二次的な合併症を防ぐためには、適切な診断と治療が必要です。
ADHDの治療では、以下の3つが軸になります。
- 環境への介入
- 行動への介入
- 薬物治療
この3つの治療法を組み合わると、効果が得られやすいと言われています。
薬物治療は、環境・行動への介入を尽くしても改善が難しい場合に検討されます。
環境への介入
- 集中しやすいよう無駄なものを置かない
- 作業時間を10〜15分に区切る
行動への介入
- 好ましい行動に報酬を与え、減らしたい行動には報酬を与えない
- よくない行動に対して、過剰な叱責はしない
- 問題行動が減ったり、やめられたら即座に褒める
- 報酬を得点化し、一定の点数に達したらご褒美を準備
- 子どもと関わる保護者に対して「ペアレントトレーニング」もある
薬物療法(保険適用)
- メチルフェニデート(コンサータ®)
- アトモキセチン(ストラテラ®)
- グアンファシン(インチュニブ®)
- リスデキサンフェタミンメシル酸塩(ビバンセ®)
※メチルフェニデートは登録された医師や専門医療機関のみ処方可能。
学習障害(LD)
学習障害(以下、LD)は、全般的な知的発達の遅れは見られません。
一方で、『聞く』『話す』『読む』『書く』『計算する』『推論する』ことに対してのみ困難感があります。
LDのタイプは、以下の3つに分かれます。
- 読字障害(ディレクシア)
- 書字障害(ディスグラフィア)
- 算数障害(ディスカリキュア)
以下に、LDの特徴をまとめました。
- 人によって症状のあらわれ方が異なり、意識しないと気づかれにくいため、診断が難しい
- 本格的な学習に入る小学生までの判断は難しい
- 何らかの脳機能の障害と想定されますが、脳の部位や原因は不明
- 目安は、学校での学習到達に遅れが1〜2年あるのが一般的
LDの子どもにみられる行動
一般的にみられるLDの子どもによくみられる行動は、以下のとおりです。
【読字障害】
- 文字が読めないわけではない
- 文章を読むのが極端に遅い、たどたどしい、読み間違える
- 文章の内容をつかんだりまとめたりするのが難しい
【書字障害】
- 文字を書く、文章を綴ることが難しい
- 読字障害は書字障害を伴いやすい
- バランスのとれた文字を書けない
- 助詞などをうまく使いこなせない
- 板書の速度が極端に遅い
- 考えを文字で表現することが難しい
【算数障害】
- 数の概念や規則性が身に付かない
- 計算が苦手
- 文章題が苦手
LDでは知的発達に遅れはないため、『頑張ればできる』『努力が足りない』『勉強不足』と見過ごされることが多いです。
支援の必要性を認知されにくいため、サポートが行き届かないことがあります。
その結果、子どもが学習への自信や意欲を失い、抑うつなど二次的な問題に発展してしまうのです。
つまり、二次的な問題になる前に、子どもに合った環境、サポートを整えてあげましょう。
早期介入することで、学習に必要なスキルを身につけやすくなりますよ。
LDにおける困難感への対処法
さて、LDでの困難感に対しては、どのような方法をとるのでしょうか?
LDへの対処法の例は、以下の通りです。
文字や文章を読むことが苦手
- ひらがなを一文字ずつ読み、定着させる
- 徐々に単語や語句のまとまり、文章を読めるようにしていく
- 言葉の読み方を聞かせ、意味をおしえ、例文を作り、語彙力を高める
書くことが苦手
- 書くことが苦手な子どもは読むことも苦手なことが多い
- 流暢に読めると書くことも上手になるケースが多いため、先に読みの練習をする
- なぞり書きから練習する
- 習得度に合わせながら模写や聴写する
- 漢字が苦手な場合、書き順や漢字のへんやつくりに着目したり、語呂合わせで書いたり、子どもに合った方法を選択する
計算することが苦手
- たくさんの問題を解くよりも、少ない問題をゆっくり丁寧に解く
- まずは10の合成・分解を理解できるようにする
- わからない問題は答えを教えるだけでなく、解く道筋をフォローする
LDでは、まず不得意な分野を見つけ、子どもに合った方法を探り、ゆっくりサポートしていきましょう!
【まとめ】子どもの発達障害とは?
まず、発達障害には以下の3つの種類があります。
- 自閉症スペクトラム障害(ASD)
- 注意欠如・多動性障害(ADHD)
- 学習障害(LD)
それぞれの特性に合った対応をすることで、お子さんの生きづらさを軽減し、二次障害を予防することができます。
そして、筆者から子どもの発達障害かも、と不安になっているあなたへお伝えしたいことは以下の4つです。
- 発達障害はあなたの育て方のせいでなるわけではありません!
- 悲観するよりも自分に今できることをやってみましょう!
- 子どもの特性を理解しましょう!
- 早期に療育を取り入れ、正しい関わり方で子どもの生きずらさを軽減しましょう!
早期療育につなげることで、お子さんの苦手をカバーするだけでなく、親のよき理解者・相談相手になってくれます。
子どもの人生をより良くしていけるようまずはあなたができることをできる範囲でいいので行動しましょう!
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。